地域コミュニティ組織が担う重点機能 > 地域防災

現状と課題

 災害時の応急対応や復旧、復興まちづくりには、地域コミュニティが大きな役割を果たしています。それは、阪神・淡路大震災で救出された人のほとんどが近隣住民等の助け合いによるものであったことから、特に大規模災害時における互助・共助の重要性がクローズアップされ、地域コミュニティの役割が重要視されるきっかけとなりました(図表22)。
 防災活動は地域に密着したものであり、それぞれの行政区が必要な役割を果たしてきました。しかし、近年の人口減少や高齢化などにより単独の行政区では水防や災害時要援護者支援など自主防災活動を行うことができないところが増えつつあります。また、地縁的なつながりの希薄化による自主防災活動への参加者の低迷など多くの課題も出てきています。
 そのため防災活動においても新しい地域コミュニティが行政区の活動を補完したり、地域の特性を踏まえた考え方や行政指針をもって地域をまとめていくことが大切です。

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コラム

災害対応能力の維持向上のための地域コミュニティのあり方に関する検討会 報告書より抜粋
(平成21年3月 消防庁国民保護・防災部防災課)

 地域コミュニティは、地域の災害対応能力に密接な関係を持つものである。例えば、阪神・淡路大震災では、被災がれきの下から市民によって救出された人は、約2万7,000人、警察・消防・自衛隊によって救出された人(約8,000人)の3倍以上であったことなどから、大規模災害において互助・共助、すなわち地域コミュニティの担うべき重要な役割があることが明らかになった。
 また、大規模災害時に大きな問題となる避難所の設置運営を例にとると、市町村や都道府県が地域防災計画の中に位置付け、行政が行うこととなっているが、地域内に住んでいる地方公共団体の職員が少なく、実際的には近隣住民が開設する方が早いことから、町内会とか自治会に避難所の立ち上げや運営を支援してもらうこととなっている地方公共団体も数多くある。
 このように、災害発生時に町内会をはじめとする地域コミュニティが力を発揮するためには、しっかりした地域コミュニティが存在していることが必要となる。

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地域防災で期待される取組み例

防災意識啓発や自主防災組織の育成

 現在は主に行政区の単位で防災の出前講座やワークショップなどが行われていますが、人口減少により単独の行政区では十分な活動ができないところが今後も増えていくと思われます。
 また、防災上、地域の地形や地勢を含む自然環境を住民が確認し、対処する知恵や工夫を伝承する必要があります。

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防災訓練や救急救命講習の開催

 防災訓練や救急救命講習は、若年層から高齢者まで、より多くの住民が参加することが重要です。「自分たちの地域は自分たちで守る」という行動につながります。

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避難ルートマップ作成

 どのような危険性があるのか、どこに避難所があるのかを知るには、市が作成した「防災マップ」で確認できます。しかし具体的な避難経路の確認や避難ルールを定めるためには、地域で改めてマップを作成することにより、いざというときの備えとして非常に有効なものとなります。

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現公民館における避難所の開設・自主運営

 現在、地区公民館は避難所に指定されており、災害時には市の職員が開設し、長期化する場合は地域で運営することとしています。開設・運営ともに地域運営とすることで、的確な時期の開設、円滑な避難所運営が期待できます。

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災害時要援護者の避難支援

 公的機関による的確な救助の実施や円滑な避難所運営には、住民の安否情報の把握が不可欠です。このため、地域内で一定の安否確認のルール作りを行い、いざというときに、誰が、誰を、どのように避難させるかを共有することが必要です。

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