長谷の万灯
18.10.16 UP
長谷区では、毎年8月下旬に万灯行事を開催します。
万灯は、江戸時代から続く長谷の行事で、日没の頃、区の西方農道沿い約400mに、120本の竹筒灯火を点灯します。灯火は当時から伝わる松明の灯で、松の脂根(肥松)を約25㎝の長さに切り、細く割って青竹の長筒に差し込みこれに点火します。又肥松を束ねて燃やし、子どもたちが火振りを行います。
この万灯行事は、江戸の初期、山林(薪取り場)の入会権に関して村落間の紛争があり、中でも享保2~3年に江戸沙汰(裁判)めぐって死者が発生したといわれています。この死者を供養するため、精霊の火を灯すと伝えられています。
その昔、薪は現代の電気・ガスと同じように、生活する上で大変貴重なものでありました。この薪取場について、山を有する村落と,山のない村落の入会権争いが度々あったようです。
現在、山から肥松を掘り出し灯火にするには、大変な時間と労働力を必要とします。毎年全区民によって準備作業が行われ、大切な歴史文化が守られています。
なお、神美地区の中でも立石区、香住区でも万灯が行われますが、伝わり方、実施方法が多少異なります。